2011年10月17日月曜日

【回想】「クラブ・ジャズ喫茶 [モア]1st Anniversary Special」


いつも応援いただいている皆さま、
ありがとうございます!!

1周年のパーティーを、
無事に、そして大盛況で開催することができました!!
あらためて、感謝申し上げます!!

そして…
警報が発令され、
大雨が降りしきるなか
MAMBO CAFEにお越しいただいた皆さま、
ほんとうに、ほんとうにありがとうございました!!


イベント「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」を開始したキッカケは、
編集プロダクションの退社でした。

2006年からお世話になっていた会社を、
2010年6月末日をもって退くことになり、
編集/ライターの仕事がメインではなくなったのです。

編集業界の動きは
激しく、また不規則でもあります。

その世界との距離が生じることで、
スケジュールのコントロールが容易になり、
イベントの準備/運営をする時間が確保できるようになったのです。

実は、
会場・MAMBO CAFEさんとのお付き合いは、
ライター時代にスタートしました。

そのときに、
僕の、音楽にたいする深い愛情を評価していただいたのでしょう。
「うちでイベントをやってみたら」
と声をかけていただいたのです。

しかし、
時間の制約があること、
定期的なイベントを主催したことがないことが不安材料となり、
恐縮していました。

すると、
「イベントやってみたら?」
「イベントやってよ〜」
と、
僕の本心=本当はやってみたい!
を見抜いた問いかけに変わっていったのです。

そのなかで、退社することになったので、
今しかない!
と直感。

今、放り込まないと、
いずれ次の生活のルーティンが定まってしまい、
定期的なイベントの開催は困難になる…
と思ったのです。


「ぜひお願いします!」
「よろしく!」
即座に決定しました。

すぐさま帰宅し、
内容は?
頻度は…?
時間は……?
企画書の作成に着手したことを覚えています。

上記の要素については、
会場と役者がハッキリしているので、
すぐに決まっていきました。

問題は、
イベント・タイトルです。
当時のメモを見ると…

・イベント名には“クラブ・ジャズ”というワードを盛り込みたい
 →クラブ・ジャズとは、僕が展開するイベントにおいては、音楽ジャンルではなく、スタイルだという認識を広めるため。
イベントのタイトルに冠されていれば、その内容がイベントで繰り広げられているのでは/これがそうなのだ、との解釈が、自ずと浸透していくとの期待をいだいていたため。

・イベントのときは、イベント>お店という存在感を打ち出したい
 →来場者が、“イベント”ではなく、“お店”という感覚で集ってくれるようになることを目標に設定しているため。すなわち…1人で来ても長居が可能/安心感を抱く世界観=いつ行っても、そこにはその空気が満ちているという空間を指向。

・非クラブなクラブ・ジャズということを端的に明示したい
 →“クラブ・ジャズ”のイベントだけど、クラブ志向ではない打ち出しかた(=着席スタイルが中心/会話できる音量での選曲/リスニング指向=非ダンサブルな選曲を展開/20:00〜ミッドナイトでの開催)でもって、クラブ・ジャズを体現していくため。

・わかりやすさ、親しみやすさを包含したい
 →ほかには存在しない、けれどラディカルな空気を表出させないため

・お店の形態:カフェ=基本的には座って楽しんでもらうスタイル

・無名な僕=松本大輔=More Projectの行為だということのアピール

これらを、
総合/集約した名前にしようとしていたことが
わかります。

そして、
考えること2か月…
「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」
とのネーミングが決定。

早速、
2010年10月からスタートすることになったのです。

僕の感性が前面に押し出された、ニッチな内容であるのにも関わらず、
定期的に継続してこれたのは、
皆さまのおかげです。

あらためて、
ありがとうございます!!


さて、2011.10.14の
「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」は、
(開催できるなら)1st Anniversaryだということが決まっていたので、
様々なアイデアを案出していました。

デザイナーとの協議で、
バンドを起用するという方向性が決まったとき、
僕の中ではjazzactiveに出演してもらいたいという想いが強くありました。

というのも、
同バンドのベーシスト・岡本洋平くんは、
「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」で
初めてゲストDJを務めてくれた人物だったからです。

が、連絡をとってみると…
jazzactiveは休止状態にありました。
メンバーの移動により、活動の停止を余儀なくされていたのです。

しかし…
すぐさま、再度の連絡があり、
「新たにバンドを組むことになりました!」と。

それが
ライブ・セットを披露してくれた、
NUOVO CLASSICO
だったのです。

メンバーは、
jazzactiveのメンツを含まない、
岡本くん+ピアニスト・杉山悟史くん。

指向するサウンドも、
ストレート・アヘッドなジャズから、
クラブ・テイストをふんだんに取り入れた内容に
方向転換するとのこと。

しかし、
第一回目のライブでは、
一般的なジャズのイメージが強い演奏を繰り広げていました。

ということで、
当初は“オーセンティックなジャズ”をテーマに開催しようと、
その考えを進めていったのです。

とにかく、
“ライブ vs. 選曲”
という、わかりやすい構図でもってジャズの本質に迫り、
あらためてその魅力を提示しようとしていました。

しかし…

ピアニスト・杉山くんは
アシッド・ジャズ黎明期を開拓したアーティスト、
INCOGNITOによってジャズに開眼。

また、
今回のライブで起用されたドラマー・橋本現輝くんは、
土台はファクンク一筋だというのです。

それぞれの人物像を知ると、
バンド・アンサンブルは、
いわゆる“ジャズ”の範疇に留まらないであろうことが
容易に想像できました。

そこで、僕は、
バンドにある提案をします。

すなわち…

・彼らのオリジナル作品
・ジャズ/ソウルにおける有名曲
・「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」を開催してきた1年間において、僕がもっとも選曲した楽曲

について、
それぞれカバーをしてみてはどうか、
と。


プロフィールを知るまでは、
彼らはオーセンティックなスタイルを好んでいる
とばかり思い込んでいました。

しかし
自由で先進的な、
クラブ文脈のサウンドが嗜好の大半だということで、
プレイ・スタイルよりも、
センスを前面に出すべきだと考えたのです。

もちろん、
演奏ありきなのですが。

そんな意向を深く話す前に、
岡本くんは快諾し、おもしろがってくれました。


そんなやりとりの後、
初めて行なわれたNUOVO CLASSICOのライブを鑑賞して、
度肝を抜かれました。

彼らは、
ジャズの本質である“変化”を
先導するバンドだと確信していました。


だからこそ、
カバーという方法論を提示しました。

実際に、
先導する演奏だったのですが、
その度合いが激しく高かったために、驚嘆したのです。

曲目は、Herbie Hancockの「Maiden Voyage」。
以前にもアンサンブルを展開したそうですが、
このときに、より進化したようです。


ところで、
このライブが行われたのは
2011年9月18日。

そう、本番まで1か月を切っています。
感動している暇はありません。

自身の選曲について、
再考しないと。

バンドの、
あまりにラディカルでエモーショナルな生演奏に
その場で対抗するには、
ジャズというストレートなベクトルを転換せざるを得ませんでした。


個人的な音楽観において、
ジャズにおける音楽的変化の最先端は、ブロークンビーツだ
との認識を持っています。

現代の技術でしか成し得ない…

・タイトかつラフなビートの響き
・生演奏では決して太刀打ちできない、音圧の高さ
・理論上は可能だけど、手動では限りなく不可能に近い複雑なリズムの実現

そして、
毎日、毎時間のペースで進化する
アーティストの思考と、彼らが紡ぐメロディー/音色…。

これらの要素を
絶妙なセンスで融合/構築しているのが、
ブロークンビーツなのです。

そんなことを頭の中で確認しつつ、
レコード/CDライブラリを掘り出しました。

まずチョイスしたのが、
Kaidi Tatham。

「Feed The Cat」
「In Search Of Hope」
degoとの共作「Next Rockers」
などなど、片っ端から復習していきました。

すると…

なんと、
degoが新譜「A Wha' Him Deh Pon?」をリリース!

続いて、
Kaidiも新作「Kaidi's 5ive」をドロップ!!

この潮流に合わせるしかない!
そう確信した僕は、
ソウル/フュージョン/ジャズなどの
あらゆる趣向に属するブロークンビーツを集めていきました。

10年以上前に制作されたトラックから2011年の作品まで、
新旧の様々なブロークンを織り交ぜた、
僕のDJ。

そして
メジャー曲、[モア]なサウンド、オリジナル作品
それぞれに、先鋭的なアレンジメントを施したカバーを披露した
NUOVO CLASSICO。

これらの内容でもって、
打ち込み/選曲による進化の先端
生音/生演奏による進化の先端
を体現できたのではないかと自負しています。


ライブの後のDJは
我が音楽観を築いていただいたアーティスト、
Kyoto Jazz Massiveへの感謝とリスペクとの念を込めて…

「Thank You」Shuya Okino Feat. Navasha Daya (Fertile Ground)
「Sands Of Time」Monday Michiru
「Deep Into Sunshine」Shuya Okino feat. N'Dea Davenport
「Mind Expansions」Kyoto Jazz Massive Feat. Maiya James
「Ten (Kyoto Jazz Massive Remix)」Fauna Flash
「Stargazer」Kyoto Jazz Massive

という、
まさにSpecialな展開でスタートし…

「Beautiful (Bugz In the Attic Remix)」Phuturistix featuring Jenna G
「Sky's The limit (New Sector Mix)」Quango (IG culture)
「Rokstone (Soon Come) (Several Small Furry Bugz Co-Operating In The Attic Mix)」Daz-I-Kue Ft. Colonel Red
「On A Vibe」Kaidi Tatham
「Part 4」2000black

と、
再びブロークンビーツな内容で
お送りしました♪


ちなみに、
この日の20:00にかけた、
1曲目が何かわかった方はおられますか?

かつて「金曜ロードショー」のオープニングに使われていた
「Friday Night Fantasy」という作品なんです。

「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」は
(毎月第2)金曜の夜に開催ということで、
いつかフィーチャーしようと思っていたんです。笑

そしていつの日か、
オリジナルのテーマ曲を制作できれば、
と考えています。。