本イベント
「『クラブ・ジャズ喫茶[モア]』presents VINYL SESSION」は、
今回=Vol. 85で7周年を迎えます。
マンスリーで継続できておりますのは、
偏に、応援いただいております方々のおかげでございます。
いつも足を運んでくださる音楽ファンの皆様、
web上やメールでお声がけいただく皆様、
これまでにご出演くださったDJ、ミュージシャン、ペインター、
出店くださったカフェやバー、料理人の方々、
そして会場のスタッフの皆様、
ほんとうにありがとうございます。
陰に陽にサポートいただき、感謝申し上げます。
ところで、イベント名に含まれております“ジャズ”は、
我々の固有な感覚に基づいた「選曲スタイル」としてのJazzなのですが、
ジャンル/音楽性のそれと、決して無関係ではありません。
むしろ、これまでに、この概念を度外視した展開は一度もございません。
初期には、
季節やシチュエーションを基軸とした打ち出しで、
最近では、奇数月ではロケーションの拡大を、
偶数月においては“Japanese maner”や“SUMMER BREEZE”といった、
より限定的なテーマとともにお送りしてきましたが…
いつのときも底流する、
当イベントにとって根幹とも言うべき“Jazz”につきまして、
周年を機に、あらためてコンセプトに据える運びとなりました。
Jazzは、その誕生については諸説ございますが、
もっとも強力で明快なものとして、
アメリカでの南北戦争(1861 - 1865)の終結が挙げられましょう。
敗戦した南軍が擁する軍楽隊が解体されると同時に、
同隊が保有していた楽器は払い下げられ、黒人たちの手に渡ると…
スコアはおろか、マナーの伝承もないなか、
バンドを結成しながら奏でられる音はある種のカラーを帯びていき、
いつしかジャズと呼ばれるように。
1910年あたりにはムーブメントに飛躍し、
発生した地域名を冠して“New Orleans Jazz”や“Dixieland Jazz”
との名で親しまれています。
この、南部一帯は、かつては植民地であったことを考慮すると、
BluesやGospelに比して、Jazzは幾分、
ハイブリッドなブラック・ミュージックと言えましょう。
ちなみに、1917年をジャズの誕生年とする記述が散見されますが、
これは、商用レコードに初めて JASS (ジャズ/当時のスペリング)
がプリントされ、リリースされたタイミングを起点としているからです。
この基準を採用すると、
本年=2017年はJazz誕生100周年ということになり、
このこともまた、我々をJazzに接近させる動機となりました。
20年代に入ると、
観光クラブにて白人たちの眼前で演奏されるようになり、
さらに10年後にはBenny Goodmanに代表される
白人主導のビッグ・バンドが結成/活躍するまでに発展していきます。
すると、
黒人の返答と言わんばかりに、Charlie ParkerやDizzy Gillespieらが
ソロ/アドリブを主体としたスタイル=Bebopを案出。
演芸から芸術、ダンスのみならずリスニングにも耐え得る
ジャンルへと飛躍させました。
同時に、西海岸では、
白人によって教養・学問として進化することに。
映画産業が発達し、
サウンドトラックのための迅速な演奏力のニーズが高まることで、
譜面の解読/作成が必須となったからです。
このあたりの音色は、
West Coast Jazzとの、いちジャンルを形成するに至りました。
10年を周期に変貌を遂げるJazzは、やはり50年代にも大きく変化し、
且つ、多角・多発的な広がりを見せます。
インプロヴィゼーションが、テーマやリフと有機的に結びついた、
Bebopの進化版・ Hard Bop、
その行きづまりに早くも察知・対応した
Miles Davisが編み出したModal Jazz、
そんな洗練に対する
カウンター的な発想とともに誕生したFunky Jazz、
さらに、
あらゆる音楽的マナーからの解放が生み出したFree Jazzなど、
スタイルが一気に拡大。
次のタームでは、
RockやSoul、Funkなどの他ジャンルと結びついた形態:
Jazz Rock/Soul Jazz/Jazz Funk、
Bossa NovaやReggaeといった他地域への流動のなかで興った音楽性、
巨匠・Milesの弟子たちによる新主流派など、
ますます深度と速度が増した変化を歩んでいきます。
そして、販売シーンから提示された“Crossover”との、
言わば広告を基に進展した、文字通り融合した音像を持つFusion、
制作・流通をミュージシャン/アーティスト自身が手がける、
現代のインディペンデント・レーベルの原型・Loft Jazzが形成された
70年代までを振り返って、俯瞰してみると…
Jazzとは、
常に異種の何かと結びつき、
それを機縁として、
新たなスタイルを創出し続けてきたことが
見て取れませんでしょうか。
つまり、Jazz=革新ということなのです。
これは、我々がイベントを展開しております、
ナイトクラブに根ざした音楽カルチャーにも引き継がれ、
Acid Jazz、Future Jazz、Nu Jazz、Broken Beat…といった
新興ジャンルを派生/発生させてきました。
さらに、Hip Hop、House、Technoをはじめとする
他ジャンルの細分化への寄与、分化・同化の促進に、日々貢献し、
各シーンとクラブ・シーン全体の可能性を拡大し続けています。
「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」は、
クラブ・フィールド発の音源が披露される場がナイトクラブに限定的な、
それまでの慣習から脱して、
カフェにて展開し、
リスニング指向な作品もピックアップするという、
Jazzy=革新的なスタイルで、2010年10月にスタートしました。
風営法の影響によって、ダンスフロアでの打ち出しが困難となり、
近年は、カフェやレストランでのDJイベントが
レアケースではなくなってくると…
偶数月は、
同法律をクリアした会場・NOON(ナイトクラブ/大阪・梅田)にて、
様々なテーマやシチュエーションの設定や、
他フィールドのDJや演奏家のブッキングという異種配合によって、
奇数月は、
会場を変更することで、多種の業態との接触の機会を通じて、
選曲自体をJazzする=革新するという発想とともに、
DJスタイル=選曲スタイルとしてのJazzの確立を目指しております。
今回=Vol. 85では、ゲストDJには、
ナイトクラブ登場前の、
ジャンルを主体としたJazzを体現するJULES (from Australia)、
Jazz以外のジャンルを積極的に取り込む、
選曲スタイル・Jazzを信条とするokabe kentaro (grapefruit moon)、
音楽性のJazzと、
選曲スタイルのJazzの混交を披露するSTEWを招集し、
彼らのセレクションに触れていただくことが、
そのまま、先述いたしましたJazzの多面性を
一挙に体感いただく時間となるのではないかと考えております。
また、
“色使い、運筆・筆勢、モチーフが有する印象、ストーリー性”
といった即興的に反映する・されるべき要素に重きを置いていると語る、
言わば
“Bebop/Hard Baop”な画家・sotaによる
ライブ・ペインティング、
さらに、
Jazz FunkやDeep Funkを基点としつつも
Breaks/Funkといったネタものや、
Rock/Popなどのポピュラーな音質、
Free Jazz~Spiritual JazzやAmbientにおけるビートレスな音源まで…
あらゆるタイプのサウンドとともに舞ってきた、
ジャンルとしてのジャズ・ダンサーの括りを拒む出自は、
そのままJazzの根幹たる概念・Fusionを体現するユニット、
L.L.L.によるショーケース…
といった、音楽とは異なる、
しかし、Jazzと通有する要素の多さを感じさせる
“時間芸術 × 空間芸術”なコンテンツがーー
きっと
“革新性”あふれる感覚の進化を、
体感させてくれるに違いありません。
なお、NOONで開催の際に恒例の出店ブースには、
Lucky Cookieによるスイーツが登場。
オーガニックであることはもちろん、
場合によっては小麦粉の代用で米粉をフィーチャーしたり
乳製品の使用は控えるなど、
健康面に深く配慮した、
ミッドナイトでも安心のヘルシーな逸品にご期待ください。
これら、
“7人”のゲスト・パフォーマーたちによる、“7周年”記念アクト。
是非ともご覧ください。
松本 大輔 (MORE PROJECT)
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「クラブ・ジャズ喫茶[モア]」Vol. 85
- 7th Anniversary Special -
"VINYL SESSION" with "7" guest performers
2017.10.13 FRI
9 pm - 5 am
@NOON (Umeda, Osaka)
Charge:
1000yen + 1drink
Foreigner: 1 drink only!!!
Guest DJ:
DJ JULES
Okabe Kentaro (grapefruit moon)
STEW
Dance Show Case:
L.L.L.
Live Painting:
sota (LongLongTrip)
Shop:
LuckyCookie (by Sayaka Morinaga)
Resident DJ:
DAISUKE MATSUMOTO (MORE PROJECT)
SHINJI OKANO (digmeout ART&DINER / RAPPORTIA)
YOHEI OKAMOTO (Nuovo Classico / John doe)
VJ / Artwork:
MASSAN (DEEP IMAGINATION FACTORY)
Produced by MORE PROJECT
■NOON
大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線 高架下